ショートニング4

ショートニング4 続続続・短くてくだらない100の物語
第1回

ショートニング4 続続続・短くてくだらない100の物語

ショートニング
2017/06/30公開

まえがき

 まえがきです。

 4冊目のまえがきです。
 まさかの、まさかのシリーズ4冊目です。
 ありがとうございます。ありがとうございます。御礼のしようもありません。
 いや、厳密にはあるんですけど、買ってくださった方ひとりひとりに菓子折を持っていくなどすればいいんですけど、売れた冊数から考えるとできなくもないんですけど、それはまぁ、ほら、言葉の綾(あや)みたいなもんなので、各々察していただければと思います。

 さてさて、まえがきといってもいまさら説明することなんて何もありませんので、いつもどおりに「まえがき」的な内容とはまったく関係ない話をしますね。

 じつは僕、『4』という数字が大好きなんです。皆さん、『4』という数字の漢字をご存知でしょうか。
『口』の中に『八』みたいなやつが入っててですね、実際に書くと『四』なんですけど、知ってます? 大丈夫? 知らなかったらいまのうちに調べてくださいね。
 で、いま調べた内容を全部忘れたうえで聞いてほしいんですけど、これ、とても使いやすい弁当箱なんですよ。

 何言ってるかわからないって顔してますね。見えますよ。あなたのポカン顔。あなたのキュートなポカン顔がパソコンの画面にくっきり浮かび上がってますよ。立体で。4Dで。
 息遣いまでも。完全に再現されてますよ。あれ? ちょっと熱ある? 最近痩せたんじゃない? あ、べつにそういうデザインじゃないんで。大丈夫です。
 そういう奇抜な液晶デザインを採用しているわけじゃないんで。顔柄の凹凸フィルムを採用しているわけではないんで。
 これは比喩です。わかります? 比喩。辞書によりますと『物事の説明や描写に、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現すること。たとえること。その表現』とありますね。ということは、これは比喩じゃないですね。
 すみません。比喩じゃありませんでした。

 話を『四』のお弁当箱化に戻します。
 まず左上の斜めに区切られたスペース、こちらは仕切りがしっかりしていますので、汁気の多いものがぴったりですね。おひたしなんかがいいのではないでしょうか。小食な方でしたらここにフルーツを入れてもいいかもしれません。

 次に右上の小さめのスペース、こちらゴシック体や明朝体など、書式によっては仕切りに隙間が開いている場合がありますので、できたら汁気の少ないもの、かつ、ほかのおかずとくっつけたくないもの。
 そうですね、佃煮や煮豆なんかがいいのではないでしょうか。

 そして中央の大きなスペース、こちらにはもちろんメインのおかずが入ります。鮭の塩焼きや卵焼き、揚げものもいいですね。僕の場合は焼肉なんて入ってるとテンションが上がりますね! 夢が広がりますね! お腹が空いてきましたね!!(現在11時です。仕事中です)。

 どうですか? 『四』のお弁当箱としてのスキルの高さ、おわかりいただけたでしょうか。しかしこういう話をすると、かならずアンチ『四』が現われるんです。
 彼らは「いや、『四』よりも使い勝手のよい『田』のほうがお弁当箱スキルは高い!!」「小さなスペースに彩りよく配置しやすい『目』が至高よ!!」「おいおい、オーソドックスこそ最強! 『日』を忘れてもらっちゃ困るぜ!!」「男なら『口』にごはんを敷き詰めおかず全乗せ一択だ!!」などとそれぞれ自分勝手なお弁当箱論を振りかざし、『四』を打倒せんとするわけです。

 しかし、しかしです、そんなことでめげる『四』ではありません。
 なぜなら『四』にはもうひとつ、数字の『4』という顔があるのですから。わかりますか? この『4』には三角のスペースが空いていますよね。そこにはなんと、チーズケーキを入れることができるのです!!

 どうですかこれ!! チーズケーキを入れて、なおかつかたちを崩さずに運ぶことができるのです!! ハードタイプのみならず、スフレタイプでさえも……!!

 皆が思い思いのお弁当箱におかずを詰めて持ち寄り、「どうだ、俺の『目』の機能性!」「いやいや『口』の男らしさよ!!」などと議論するなか、『四』を食べ終わった僕が颯爽と保冷バッグのなかから『4』にすっぽりと入ったスフレタイプのチーズケーキを取り出すわけですよ。
 もう、全員「「「あ……ああ……あ……」」」ってなりますよね。完全にフリーザと対峙したときのクリリンみたいになりますよね。
 このエピソードだけでも『4』がいかに素晴らしいか、わかっていただけると思います。

 どうですか、『四』型の弁当箱および『4』型スフレチーズケーキ収納ケースの商品化。各自一旦社に持ち帰り、上司と相談のうえご返答いただければと思います。

 話が完全にずれました。弁当箱のプレゼンをしてる場合じゃありませんでした。
 で、『ショートニング』の4冊目が出たわけなんですけど、なんで出たんでしょうね。いまさらですけどちょっと意味がわからなくてですね。まだドッキリなんじゃないかなって思ってます。
 だって4冊目ですよ? 素人の書いた本が、それぞれ単品でならまだわかりますけど、シリーズで4冊出てるんですよ? この原稿をメールで送ったら担当さんから『mail delivery subsystem』って返ってくるんじゃないかって毎日ハラハラしています。
 僕がKADOKAWAだと思っていた先は本当はKAMOGAWAで、送ったデータはすべて川に流されて最終的に京都の寺社仏閣にたどり着き荼毘に付されているんじゃないかと心配しています。

 そもそも僕、いまだに担当さんにお会いしたことないんですよね。まだ30%くらいAIなんじゃないかって疑ってます。
 たまにメールで僕のこと「人類」って呼びますからね。人類の原稿の進捗状況とか聞いてきますからね。
 僕も「すみません……人類(一人称)の本業が立て込んでて……」とか返してますからね。AIからくる仕事依頼を人類が処理し、データは鴨川沿いを流れて寺社仏閣に。そこでAI和尚がテキストデータを荼毘に付していますからね。
 ちょっとこれ、過去と未来の融合がすごくないですか。もしかしたらこれが、日本が目指す最終形、ビューティフル・ジャパンなのかもしれません。
 テキストデータを燃やした煙は何色に輝くのか。AIの担当は電気羊の夢を見るのか。僕はいったい何を言っているのか。

 まぁ、皆さんがこの文章を読んでいるということは、無事に発売されてるわけなんですけど、いまの僕にそれを確認する術はないんですよね。本当に荼毘に付されている可能性もなくはない。
 あ、これ、アレっぽくないですか? 「この映像を君が見ているということは、私はもうこの世にいないのだろう……」みたいじゃないですか? いやー、思わぬところでかっこいいセリフが出ました。
 乙女が頬を染めるやつ。背景に花背負うやつ。僕のはただ発売を心配してるだけなんですけども。

 話がズレたついでに思い出したんですけど、僕は小学校4年生のときに4年4組4番だったんですね。で、『4』ってどうしても『死』とつなげちゃうじゃないですか。
 学校側もホテルの部屋番号みたいに欠番にしてくれればいいんですけど、そういうとこまだ気が回らないみたいで、付き合ってからわかった彼氏の気遣いのなさみたいなのまる出しで教育に取り組んでくるので、案の定同級生に「シエ444だ~」「死ぬんじゃねーの?(笑)」などと言われてですね、まぁ皆さんご存知ないかもしれないんですけど、4が3つ並んでも人間死なないんですよね。
 ご安心ください。死にません。ゾロ目で人は死にません。でも、小学生なのでやっぱりちょっと心配になったりするんですよ。で、僕はそのときに思ったわけです。『死ぬのか。僕はもしかして死ぬのか。でも、それっていつだ?』と。

 僕は意を決し、僕の死を囃(はや)し立てている友だちに聞きました。「おい、みんな聞いてくれ。わかった。僕は死ぬ。それは仕方がない。だって4が3つ並んだのだから。ただ、いつ死ぬか教えてくれ。なんかふわふわした感じで放置しないでくれ」と。
 で、4が3つ並んだら死ぬと信じている小学4年生が集まって僕の死期を考えるわけです。みんなで3つ並んだ4を足したり引いたり掛けたり(割り算は理解できていなかったので)して僕の死期を計算するわけです。
 すると、仲間内で天才の呼び声の高かった(4が3つ並ぶと人は死ぬと信じている)友だちが気づきました。「4×4×4=64」である。
 すなわちこれは「6月4日」ということではないのか。しかも僕たちが4年生になった4月1日から6月4日まで、この日数も64日間である!! これは単なる偶然ではない! 間違いない!! シエが死ぬのは6月4日で間違いない……!! と。

 まぁ、5月は31日まであるので本当は65日間なんですけど、当時は誰も気づくことなくわっしょいわっしょい天才わっしょいとほめ称え、めでたく僕の死期が決まったわけです。めでたく。
 で、この死期が決まったのがですね、6月2日です。え? 猶予なくない? お別れパーティとか、好きな子に最後の告白とかできなくない? 余命2日を告げられた僕は意気消沈しました。
 なんとなく、あと半年くらいあるんだと思ってた。それまでのあいだにいろんなドラマみたいなのがあるんだと思ってた。明後日て。そんなOLのランチ予約みたいな。
 ただ、ハッシー(天才の友人)が6月4日で間違いないと言っているわけですから、これはもう覆せないわけです。当日が休みだったか自主的に休んだのか忘れましたけど、家ですごしたように記憶しています。

 で、まぁ、あの……さっき言ったこと、皆さん覚えていらっしゃいますかね? 死なないんですよね。死なない。人は4が3つ並んだくらいでは死なない。
 なので、翌日は通常どおりに学校へ行くわけなんですけど、みんなのなかではもう僕は死んでるんですね。
 惜しい男を亡くした……もっとおまえと、同じ瞬間(とき)をすごしたかったぜ……と、実際聞いてはないんですけど、たぶんそんなことを言ってたんじゃないかな。涙ながらに。みんな目は真っ白でしたけど。
 で、まぁそこに颯爽と僕が現われるわけですよ。しかも無傷で。わかります? 悪魔の呪いを一身に浴び、ハッシー(天才)の完璧な計算をものともせず、不死鳥のように甦ったわけですよ。
 僕はこれを個人的に『ロクヨンの奇跡(ミラクル・ボーイ)』と呼んでいます。
 もうね、もうこれ完全に僕のターンですよ。きた。時代が来た。死を乗り越え、悪の呪いを振り払い、ミラクル・ボーイとして皆の尊敬のまなざしを一身に浴びるときがやってきた。

 やってきたと思った矢先、6月5日に転校生が現われ、完全に話題を全部持っていかれました。ハッシー(天才)の計算からは1日ズレたけれど、確かにこのとき、僕の存在は完全に死にました。さすがだぜ、ハッシー……。
 ちなみにこの翌週、ハッシーの天才の称号もこの転校生に奪われることになります。僕とハッシーはこの出来事を『ロクゴーの鎮魂歌(レクイエム)』と呼んでいます。死者2名。

 というわけでですね、結局何が言いたいかといいますと、『4冊も出せてうれしいな』ということです。伝わったでしょうか、僕の気持ち。
 ちなみに、もし5冊目が出たら『5が至高である』みたいな話をします。『五』の四角いとこにティラミスを詰めて持っていく話をします。
『5』についてはどこにごはんを詰めてもこぼれそうなのでお弁当箱としての用途はなさそうなんですけど、まぁあの、結局いっぱい出た方がいいんで、4よりも5のほうがいいですよね。
 4億円よりも5億円のほうがいいのと一緒ですよね。ただそのためにはまず、この4冊目を世に送り出さないといけません。

 お願いします……何とぞこの原稿、鴨川沿いの寺社仏閣でAI和尚により荼毘に付されていませんように……人類(一人称)の願いです……。

[シエ プロフィール]

福岡生まれ。
ツイッター上では7歳の設定だが、実際は意外と気さくな30代。中肉中背。肉好き。猫派。昼はコンタクトで、家ではメガネ。
10数年前からほぼ毎日(土日祝、盆正月除く)ブログを更新している暇な人。現在も細々と週1~2回程度更新中。
電子書籍著書に『ショートニング 短くてくだらない100の物語』『ショートニング2 続・短くてくだらない100の物語』『ショートニング3 続続・短くてくだらない100の物語』(小社刊)がある。

◇ツイッター⇒ @s_sh
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著  者
シエ
レーベル
eロマンス新書
価  格
454 円(税抜)
シリーズ
ショートニング
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