「私はもしかして、生きることに向いてないのではなかろうか」

 そう思い始めたのは三十路もすぎ、二児の母となってしばらく経ってからのことでした。
 どうにも毎日の暮らしがスムーズに進んでいかない。部屋が片づかない。洗濯物の山が減らない。人付き合いが苦痛。浪費が多い。痩せられない。持病が多い。
 そんな小さなつまずきがどんどん蓄積され、いつの間にやら乗り越えるのが困難な険しい山脈となって私の、そして家族の毎日の時間の流れをせき止めているのでした。
 決して生きることにかかわるひとつひとつの動作をすることが難しいわけではありません。
 自分で言うのもなんですが、料理も洗濯も片づけも、あくまで作業単体でみれば、家庭の主婦として恥ずかしくない程度にはできるのです。
 しかし、そんな生きるうえで必要な作業を毎日、継続して、仕事と両立しながら計画性をもってやり続ける根気、体力、気力。そういったものが私には決定的に欠けていたのです。
 人間として、ひとりの大人として必要不可欠な「生活能力」の圧倒的な欠如に気づいたとき、私は愕然としました。

 そもそも「生活」とは何か。
 ただ生き物として生きるだけでは充分でなく、「生きて、活動する」。辞書をひいてみると、このようにありました。

1 生きていること。生物がこの世に存在し活動していること。
2 人が世の中で暮らしていくこと。暮らし。
3 収入によって暮らしを立てること。生計。

 ああ、まさに。私は、家事でも人間関係でも家計管理でも健康管理でもなく、それらをひっくるめた、総合的な流れとしての「生活」が苦手だったのだ。
 そうしみじみと悟ったのでした。

 本書は私がツイッターを始めた当初から約8年間の膨大な量のつぶやきから、「苦手」「向いてない」「つらい」などのうしろ向きなテーマに沿って選んだツイートに、それぞれ書き下ろしのエッセイを添えたものです。
 思えば、逃げられないつらいこと、苦手なことがあるたびに無理やりにでも笑い飛ばし、それをツイッターでネタとしてつぶやき、読んだ人に笑ってもらうことでなんとかやりすごすことができた8年間でした。

 あきらかに人間として生きることに向いていない私が、どうやって大人として、二児の母として、曲がりなりにも生活の荒波を生き抜いてきたか。
 そんな悪あがきの軌跡を、ご笑覧いただけるとうれしいです。

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はじめに

アラフォーになってようやく気づいたんだけど、私、たぶん向いてない。生きることに……

著  者
甘木サカヱ
レーベル
eロマンス新書
価  格
636 円(税抜)
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