普通に脱いでもいいですか

普通に脱いでもいいですか
第1回

普通に脱いでもいいですか

2015/05/29公開
◇◇◇

 30歳になる直子は自分が女として成熟期に近づいているのを感じる。

 家電メーカーの広報部主任として、すでにチームを持って何人かの部下を従えている。
 部下はよく言われる「草食系」の男女で、直子の厳しいムチと甘いアメに従順だった。
 一ヵ月前には、一年付き合った雄二と別れた。雄二はプライドだけが高く、常に直子の上に立とうと躍起になっていた。
 直子はずっとそれをあざわらっていたが、結婚を迫られたのを機に、雄二を捨てた。セックスも自分本位で平凡な男だった。

「自分のような魅力ある女に命令できる男はいない」と直子は思う。
 だが一方で、そんな頼りない男ばかりしかいないことをちょっとさびしい、と直子は感じていた。
 自分の意のままに動く愛玩動物のような男がほしいと思う反面、自分の心と身体をすべて支配してくれるたくましい男が突然現れないかという願望も持っていた。

 直子は子どもの頃、強く言われると、おどおどして反論できない性格だった。
 小学生の頃、ガキ大将に「おい、直子、パンツを下ろして、おま○こを見せろ、命令だ」と言われると、嫌われたり暴力を振るわれたりするのが怖くて、泣きながらパンツを下ろして、男の子たちに性器を見せた。
 するとガキ大将は急にやさしくなり、お菓子をくれたり、ほかの子から守ってくれたりした。

 命令はずっとつきまとった。
 中学2年のとき、ひとつ上の先輩に、「やらせろ」と言われて、この人こそ私を本当に守ってくれるのではないかと夢見て、野球部の部室で処女を捧げた。
 高校に入ると、直子の噂は街中に広がり、知らない浮浪者風のおじさんまで、「イイことしよう」と卑猥な目を光らせて迫ってきた。
 そして地元の大学に入り、合コンや合宿で押し切られるままに、身体を任せてきた。

 ところが就職が決まり、上京してOLになると、さすがに直子に命令する男はいなくなった。その頃、直子は自分がきれいな女であることに気づいた。
 彼女は生まれて初めて、自分には美しさという武器があることを実感した。
 決して群を抜いた美女というわけではない。しかし、目鼻立ちが人並みに整っている顔立ちは、都会の洗練された化粧を覚えるとぐっと映えた。

 直子には人が何かをしてあげたくなるオーラが宿っていた。むしろ、男が身を削ってでも捧げたくなるような何かが。
 男たちは直子の言いなりになり、直子は恋人や、上司から部下まで見事に支配して自分の思うままにした。
 部署内では、直子を「女王様」とこっそり呼ぶ者もいた。

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普通に脱いでもいいですか

普通に脱いでもいいですか

著  者
二階堂亮太(東京ゴールデン商会)
イラスト
三上嵐士
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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