絶対、無理です。

絶対、無理です。
第1回

絶対、無理です。

2015/05/29公開
◇◇◇

 私は抱っこが大好き。
 しかも、ふたりの大事な部分がつながったかたちで抱き上げられ、下から強く突き上げられるのが……。
 蒸し暑い夏の夜、クーラーが効いた彼の部屋でふたりは裸になり、やさしく身体を求め合う。
 彼はソファに座り、私はそれにまたがる。
 最初はやさしくぬっぷりと挿入して、しばらくそのままでキスをむさぼる。
 それから彼はゆっくりと腰を動かし始める。

 私の性器はやがて熱を帯び、愛のジュースがじわじわっとあふれ出す。
 そのあたたかい液は彼の硬くなったペニスを濡らして、彼の睾丸をべっとりと汚してしまう。

「ごめんね。また、ソファを汚しちゃいそう」

 イクことはないけど、それでいいの。
 最後は私の苦手な四つん這いで拓也がイケばそれで充分。
 だって、結婚するし、私だって楽しんだんだし、それでいいの。
 友だちは、「イカない女は身体か愛に問題がある」と言うけど、そんな世界は私にはいらない。
 彼は3つ年上のきちんとした銀行マンだし、私だってデパート勤めの平凡で幸せな27歳のOL。
 あとはめでたく式を挙げ、みんなに祝福してもらえればこんな幸福はないと思っている。


 そんな私の心にさざなみを立てた男は、その年の夏の終わりに現われた。
 その男は私が勤めるオーダーメイドのシャツ売り場に、背の高い美しい女とやってきた。

「いらっしゃいませ」
 私が笑顔で挨拶すると、その男は満面の笑みを返してきた。

「やあ、こんにちは」
 一方、美しい女は慣れた様子で私を無視した。

「今日は、シャツのご新調ですか?」
 私はその女が男の妻だと思い、明るい声で尋ねた。

「布地のサンプルを出して」
 女はそっけない声で言った。
 サンプルを出すと男は遠慮がちに椅子に座って、恐縮しながら布地のサンプル本をそっと開いた。
 隣に座った女は楽しそうに男が布地を確認するのを見ていた。

「これです。これにしてください」
 男が指さしたのは、最高級の淡いブルーのストライプの布地だ。

「先生、あいかわらず若いのね。でも、いい生地だわ」
 女はそう言うと、男の太ももに手を置いた。
 どういう関係なんだろう。「先生」というくらいだから医者か、弁護士か、大学教授か。
 どこかで見たような気もするけど、思い出せない。

「採寸していただけますか?」
 先生はにこやかな笑顔を私に向けた。

 先生の身体にメジャーを当てると、不思議な緊張感が高まった。
 さわやかで甘いコロンがかすかに匂う。そのなかに、さらにかすかな汗のようなオスの匂いを嗅ぎとってしまう。
 採寸中、女は化粧室へ行っていた。客はほかにいなくて、ほかの店員も近くにいなかった。

[eロマンスjpの連載情報はツイッターでcheck!]

小説一覧 コラム一覧 コミック一覧
トピック一覧 特集一覧 TOPへ戻る

▼まとめ読みしたい方は書籍購入ページへ▼

全話スグ読める電子書籍はコチラ↓

絶対、無理です。

絶対、無理です。

著  者
二階堂亮太(東京ゴールデン商会)
イラスト
三上嵐士
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
※各配信書店で販売金額が異なる場合があります。

以下の書店名をクリックすると、電子書籍版の購入ページへ移動します。

配信書店の一覧はこちら