後輩男子とオジさまセレブに快楽まみれで愛されて

後輩男子とオジさまセレブに快楽まみれで愛されて
第1回

後輩男子とオジさまセレブに快楽まみれで愛されて

2015/05/29公開
◇◇◇

 そういえば私は昔、女優になりたかったんだっけ。と川瀬麻里子(かわせまりこ)はぼんやり思い出していた。
 華やかな衣装を身にまとい、高いピンヒールで颯爽と報道陣の前に現われ、まぶしいほどのストロボの光を浴び──。

 「まぶしいっ!!」
 窓から射し込む強烈な西日に耐えかねて、麻里子は席から立ち上がってブラインドを下ろした。
 窓際に位置する麻里子の席は、午後3時くらいになるといつも西日が直撃するのだ。
 初秋とはいえ、まだ強い日差しは麻里子の横顔を容赦なく攻撃してくる。

 ──カメラのストロボどころか、スポットライトどころか、浴びているのが紫外線って。

 しかも、ここはレッドカーペットでも舞台挨拶の劇場でもない。
 文房具を扱う老舗「高松屋」本社の営業部オフィスだ。
 麻里子はまわりの社員に気づかれないように小さくため息をつき、ノートパソコンに向かい直して仕事を再開した。
 「たいへんですねえ、UVカットちゃんとしてますぅ? シミになっちゃいますよ。あ、紫外線A波はシワの原因にもなりますしね。川瀬さん、気をつけないと」

 斜め向かいの席に座っている桜井彩加(さくらいあやか)がくすくすと笑いながら言った。
 彩加は21歳になったばかりの新入社員で、35歳の麻里子とは肌のハリが違う。
 たいへんだと思うなら席替われよ、と麻里子は心の中で毒づきながら引きつった笑顔を返した。
 麻里子のダークブラウンに染めたストレートの長い髪に、ブラインドから射し込むわずかな光があたっている。
 白いシャツに膝丈の黒いスカート、黒の5センチヒールのパンプス。
 シンプルな恰好の麻里子よりも、髪をゆるく巻いて流行の華やかなワンピースに身を包んだ彩加のほうが見た目は女優らしかった。

 ──仕事中だというのに、なんで昔の夢なんて思い出すかな、私。

 麻里子はそう思いながら打ち込んでいる請求書の宛名を見ると、会社名が「アクトレス」になっていた。
 「これか……」
 麻里子は苦笑いをした。
 「おーい、川瀬さん。これ金額、間違ってますよ」
 乱暴に請求書を投げてよこしたのは、営業の綱島和夫(つなしまかずお)だ。
 「え? 株式会社川崎堂」
 麻里子が請求書を手に取って見る。
 「頼みますよ。ここの担当、超怖えんだからさ」
 綱島が麻里子を睨むようにして見下ろしている。
 「綱島くん、これ打ったのは私でなく……」
 「あ、すみません。私でーーす」
 彩加がかわいらしく手を挙げた。
 「なんだあー、彩加ちゃんかー」
 急に表情と声が別人のように「ふにゃっ」となった綱島を、麻里子は驚いて見た。
 ほんの数秒前までは眼鏡の奥で鋭く光っていた瞳が、彩加の前では優しく変化している。
 「本当、ごめんなさーい」
 「いいのいいの、気にしないでねー。金額なんてたいした問題じゃないし」
 両手を合わせて謝る彩加に、綱島はペットの猫にでも話しかけるような甘いしゃべり方で言った。

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後輩男子とオジさまセレブに快楽まみれで愛されて

後輩男子とオジさまセレブに快楽まみれで愛されて

著  者
密島ゆき
イラスト
朝丘サキ
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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