秘蜜の深夜残業

秘蜜の深夜残業 彼の手のひらで濡れる恋
第1回

秘蜜の深夜残業 彼の手のひらで濡れる恋

2015/05/29公開
◇◇◇

 週末、真夜中のオフィス。眼下に望む道路を行きかう車はまばらになってきた。
「ん、ふ……っ」
 円城寺茜《えんじょうじあかね》は下半身を晒して椅子に座っていた。広いオフィスの最奥、昼間は部長が座っている椅子だ。
 それを窓際まで持ってきて、外へ見せつけるように脚を開いていた。見せつけるといっても、どうせ誰にも見えはしない。ここはビルの15階だし、大事な部分は白い壁に遮られている。
「は、ぅ……んっ」
 スカートとショーツは愛しい人のデスクの上に脱ぎ捨ててある。朝までそのままにしておこうかと思ったことが何度もある。
 茜は部長の横顔を思い出しながら、花芽を指で擦った。快感が少しずつ高まっていく。
「あ、あぁ……!」
 しとどに潤った秘部が脈動する。ビクンビクンと余韻を残して、茜はぐったりと椅子の背に身体を預けた。
(また、やっちゃった……)
 IT系上場企業であるこの会社に就職して5年。
 最近は任される仕事が増えて、仕事量に比例して日付をまたぐ時間まで残業をする日も増えていた。この時間になるとオフィスにはほかに誰もいなくなる。

 初めて会社で自慰をしたのは、新規立ち上げをしたプロジェクトに行き詰まったときだった。
 真夜中の誰もいないオフィスは静寂に包まれていて、響くのはキーボードを打つ音だけ。むしゃくしゃした気持ちを落ち着かせるために、茜は自分の席で不埒な水音を奏でた。
 最初のうちは岩谷《いわたに》部長の席を眺めながら、ショーツの隙間から秘部をいじるだけだった。でも回を重ねるごとにそれだけではもの足りなくなってきて、恋い焦がれている部長の椅子でするようになったのだ。
(……もう帰ろう)
 茜は大きく息を吐いて、足で床を蹴ってクルリと椅子を回転させた。
「……円城寺さん?」
 視点が定まるのに時間を要した。回転したからというだけではない。心臓が跳ね、下肢の熱は一気に冷めた。動揺は血流に乗って全身に伝わっていく。
(こんな時間に、いったい誰が……!?)
 座ったまま無防備な下半身を両手で押さえ、おそるおそる声がしたほうを見つめた。
 ワンフロアに3つの部署を収めた広いオフィスだから、自分の席のところにしか照明はつけていなかった。 そのせいで、入り口のあたりに立っている人の顔は暗くてよく見えない。
「まだいたんだね。そろそろ切り上げたら? なんなら俺が手伝うよ」
「えっと……。はい、もう帰るところです。主任こそ、どうされたんですか? こんな時間に」
 入り口からここまではかなりの距離があるから、男の顔はまだぼんやりとしか見えない。けれど声でわかった。こちらに近づいてきているのは直属の上司である主任、菅波拓哉《すがなみたくや》だ。
 茜のあられもない下半身は、雑多に積み上げられた書類が壁になって彼には見えないようだった。
「さっきまで近くの居酒屋で飲んでたんだけど、忘れ物をしたのに気がついて戻ってきたんだ」
 ハハ、と軽快に笑って菅波は自分の席へ向かっている。茜は椅子に座ったままゆっくりと部長のデスクを目指した。客観的に見て滑稽だ。
 だけど菅波との距離は狭まっている。早く服を確保しなければならない。
「ところで円城寺さん、どうして部長の席にいるんだ?」
「……っ。ちょっと、座ってみたくて」
 われながら苦しい言い訳だ。部長のデスクまでは1メートルほど。この距離をこれほど遠く感じたのは初めてだ。
 ようやくデスクの前まできた茜はスカートとショーツを片手でストンと膝上に落とした。

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秘蜜の深夜残業

秘蜜の深夜残業彼の手のひらで濡れる恋

著  者
熊野まゆ
イラスト
フジキチ2号
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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