バリキャリ女子と執事さま

バリキャリ女子と執事さま ……言えない調教ご奉仕
第1回

バリキャリ女子と執事さま ……言えない調教ご奉仕

2015/05/29公開
◇◇◇

 閉店時刻がせまりつつあるデパートの屋上。
 あたりは夕闇に包まれ、眼下にはまばゆいばかりの夜景が広がっている。
 色とりどりの宝石を、無造作にちりばめたような美しさ。
 もうここには何度も来ているはずなのに、今夜はとりわけ景色が輝いて見えるような気がした。
「ねえ、ここでして。遼(りょう)」
 鈴森瑠香(すずもりるか)が真っ白なコートの裾をひるがえしながら振り向くと、うしろに控えていた黒服の男がうやうやしく一礼して答えた。
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
 男は両手いっぱいに提げた紙袋を、すぐ脇にある鉄製のベンチに丁寧に並べていく。
 すべての袋に、高級ブランドのロゴが印刷されている。
 化粧品に、流行の洋服やバッグ。
 値段を考えずに高価な買い物をすることが、これまで瑠香にとって唯一のストレス発散方法だった。
 この男、白石遼(しらいしりょう)に出会うまでは。

 世の中には、こんなにも綺麗な男がいたのか。

 瑠香はあらためて遼の横顔を眺め、小さくため息をついた。
 彫りが深く、作り物のように整った目鼻立ち。
 とりわけ切れ長の鋭い目は印象的で、初めて会った瞬間に心を奪われた。
 かっちりとした黒いスーツにグレーのネクタイ、両手には白い手袋。
 そんなお仕着せの制服の下に、しなやかな筋肉に覆われた肉体が隠れていることを瑠香はすでに知っている。

「どうかなさいましたか?」
「え……」
 ふと気づくと、鼻先が触れあうほど距離で遼がこちらを見つめていた。
 肌を切り裂く北風のような、鋭い茶色の瞳。
 胸の鼓動が速まる。
 頬がカッと熱くなって、思わず目をそらした。
「な、なんでもない」
「お顔が赤いようですが、鏡はご入り用でしょうか」
 慇懃な態度に、意地の悪い本性がうっすらと顔を出す。
 口には出さずとも、瑠香が自分に夢中なことをわかっているはずなのに。
「黙りなさいよ。ねえ、早くして」
「本当に、ここでよろしいんですね?」
「いいってば。わたしの言うことがきけないの?」
 照れくささと苛立ちがまじりあって、つい高圧的な口調になった。
 遼の引き結ばれた薄い唇が、ふっとゆるむ。
「まったく、ワガママな方だ」
 さっと視線を滑らせてまわりに人がいないことを確かめたあと、遼は静かに立ちあがり右手の手袋だけをはずした。
 背後から強く抱き寄せられ、耳に唇をつけられる。
 やわらかな感触がくすぐったい。
 がっしりとした腕の中はひどく温かくて、ゆるゆると手足の力が抜けていく。
「昨日もあんなにしたのに、もう我慢できなくなったのか?」
 遼の口調が変わった。
 低くしっとりとした声が、耳から胸の奥まで流れ込んでくる。
 びくん、と背筋が硬直する。

 昨日。
 ベッドに縛りつけられて、気を失うまで責めたてられた。
 あの恥ずかしい場所の、いちばん深いところまで。
 涙を流し、悲鳴をあげ、それでも遼を求め続けた。
 寝室での痴態が、脳裏にありありとよみがえる。
「あ、あれは」
「欲張りで強情、おまけにとんでもない淫乱だ。まあ、そういう女も嫌いじゃないけどな」
「い、いや」
 言わないで、それ以上。
 首筋にぬるりとしたものが触れた。
 遼の濡れた舌が、ゆっくりとうなじを這う。
 ぞくぞくと肌の表面がざわめき、じっとしていられなくなる。
「あ……」
「声を出すな、警備員にでも来られたら困るだろう」
 手袋をしたままの左手が、唇に強く押しつけられる。
 舌先は襟もとまでおりたあと、今度は耳のうしろ側へと這いあがってきた。
「ん、んうっ」
「もう感じてんのか? だらしないな」
 手袋をはずした右手は器用に動き、コートの胸もとのボタンをひとつだけはずして、その内側へと潜り込んでくる。

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バリキャリ女子と執事さま

バリキャリ女子と執事さま……言えない調教ご奉仕

著  者
マイマイ
イラスト
イナリユウコ
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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