再会の罠

苛立ちの朝、乾いていく心
第1回

苛立ちの朝、乾いていく心

2015/05/29公開
 うっすらとした意識の向こう側で、アスファルトの上を滑るタイヤの音と小鳥のさえずりが混ざりあう雑音が聞こえる。徐々に意識が現実に目覚めはじめると、締めつけられている苦しさと重みがなんなのか次第にはっきりとわかってきた。
 私に覆いかぶさるように眠る彼の重みと体温に耐えられなくなり、早く抜け出したいともがきたくなる。最近いつもこんな感じで一日が始まる。
 重くのしかかる腕をのけようと少し身動きすると、運悪く彼を起こしたみたいで、しっかり目覚めている下半身をヒップにこすりつけてきた。
 こうなるとわかっていたから、そっとベッドを抜けだそうとしたのに……。
 彼の手は意思を持って動きはじめ、パジャマの代わりに着ているTシャツをまくりあげ、豊満な乳房を手のひらで包み、乳首をさするように揉みはじめた。
 しだいに強さが増し、痛みに顔が歪む。その気になるどころか苛立ちが増した。
 もう片方の彼の手が股をいじり、下着をずらし、まだ濡れていない割れ目を開いていく。ヒップにペニスを荒々しくこすりながら、片手で胸、もう片方の手で脚のつけ根の果実をさする。
「ううんっ」
 苛立ちまじりの声が漏れる。
 力が強すぎて痛くてとっさに出た抗議の声。それを彼は私が感じていると思っているに違いない。
 勘違いもはなはだしい。

 不快感に体が硬直しているのをこの人はわからないのだろうか? まったく濡れてないのに、感じてると思ってるなんて馬鹿じゃないのかしら?

 そんな言葉が頭をよぎる。私はいつもどおり、彼とのセックスにまったく集中できず、ただ苛立ちをつのらせるばかりだった。
 彼はもうこれで準備ができただろうとでもいうように、パンティを引っぱって片脚だけ脱がせ、脚を開かせ強引に押し入ってきた。
 思わず、痛みに悲鳴のような声を漏らすと、ますます強引な動きをする。奥まで突きあげたあとは、ただ激しく腰を振る。ベッドがギシギシと鳴る音にむなしさが増していく。
 無意識のうちに私は下唇を噛んでいた。
 唇を傷つけたのか、口いっぱいに鉄の味が広がった。不思議と痛みは感じない。それよりも、早くこの行為が終わることを願っていた。
 もうとにかく早く終わらせてシャワーを浴びたいと思っていると、ポタッと彼の汗が私の額に落ちた。
 それが我慢の限界を超えさせた。
 毎回勝手にはじめるこの行為は、単なる自己完結型性欲処理にすぎない。
 私がしたいと思っているのか? それともしたくないのか? そういう単純なことを聞こうと思うことさえ、この人の頭にはない。
 そんな彼への不満が積もりに積もって、我慢しつづけて大きくなってしまった不満は、勢いよく爆発した。
「もう嫌っ!」
 ヒステリックな叫び声を出し、彼をおもいきり突き飛ばしていた。彼はベッドから転げるようにしてドスンと大きな音をたてて床に落ちた。
 私はベッドから飛び出し、バスルームへ向かう。何がなんでも彼の匂いや汗を洗い流したかった。すぐに彼が追いかけてきて、うしろから抱きついてくる。
「いったいなんだってんだよ、聡子(さとこ)。あともうちょっとでイケるとこだったのにさー。ふざけんなよ、このままで終われると思ってるわけ?」
 彼はまた力強く乳房を揉みはじめ、片方の手で顎を固定し、唇を重ねてきた。
 強く吸われ、痛みで体が硬直する。抗議の声を出そうとしたとき、舌が侵入してきた。舌を絡みとられ、それが不快で私は体をくねらせてもがく。そうすればするほど、彼は私の首を締めあげるように手に力を入れた。
 苦しくてめまいがする。意識が朦朧としはじめているのに、彼は舌を絡ませながら、胸を揉んでいた手で腹部を引き寄せ、尻を突き出させた。
 やっと唇が解放されたのに、今度は膣に無理やり彼のモノをねじ込まれ、痛みに悲鳴が漏れた。
「こういうのが好きなのか? 聡子。だから俺を怒らせようとしたんだろ? ああ?」
 本気で怒っているのか、それとも怖がらせようとしているのかわからない。
 うしろから激しく突きあげられるたび、痛みで涙がにじむ。彼は自分がイクまで突きあげ続けるだろう。私は唇を噛んで痛みに耐えた。

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再会の罠

再会の罠狂おしく抱かれ乱されて

著  者
泉怜奈
イラスト
国原
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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