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共有(シェア) 双子のイケメン兄弟に凌辱されて
第1回

共有(シェア) 双子のイケメン兄弟に凌辱されて

2015/05/29公開
◇◇◇

 アイランドキッチンでお茶の用意をしながら、潮凪沙優(しおなぎさゆ)は終始ソワソワと落ち着かなかった。
 数日前から香りのよい紅茶と焼き菓子を用意して準備は万端。マロンブラウンのロングヘアも内巻きにきっちりセットし、恋人の柏木直人(かしわぎなおと)にプレゼントしてもらった、老舗ブランドの花柄ワンピースに身を包んでいる。
 それでも直人の双子の弟に初めて会うとなると、緊張してしまうのだ。彼にとってかけがえのない人物だと知っているだけになおさらだった。
「どうした、沙優? 手がふるえてるようだが」
 テーブルにゆったりと腰かけて新聞に目を通していた直人が不思議そうな顔でこちらを見ている。クルーネックのボーダーシャツにチノパンというラフな格好だが、ひと目で高級品だとわかる素材と縫製だ。
「ごめんなさい。なんだかドキドキしてしまって。弟さんに会うのは初めてだから」
「そんなに気負う必要はない。作法にうるさいヤツじゃないし、どちらかというとルーズすぎて沙優は戸惑うかもしれないな」
「そう、なの? 双子なのにずいぶん違うのね」
「尚樹(なおき)は学者肌なんだ。ちょっと気難しいところもあるが、昔から頭がよくてね。俺の自慢の弟だよ」
 弟の尚樹の話をするとき、直人はいつもやさしい笑顔を見せる。両親を早くに亡くして叔父夫婦に育てられたこともあって兄弟の絆がとても強いのだ。
「アイツのこと、よろしく頼む。沙優には少し負担かもしれないが」
 こうやって頭を下げるのも、それだけ弟が大切だということだろう。少し嫉妬してしまうほどだが、沙優はゆっくりと首を横に振った。
「負担だなんてとんでもないわ」
 だって義弟になるかもしれないんだもの──という言葉を、沙優は飲み込んだ。少し気が早すぎると思ったからだ。
 今日から沙優はこのシェアハウスで3人暮らしをスタートさせる。
 沙優自身は短大入学以来ずっと住んでいるので、かれこれ6年になる。
 最初は初期投資の安さで入居した。いろいろな人と交流できる楽しさや、防音のシアタールームが気に入って、会社員になったいまでも住み続けている。
 5つしか部屋のない小規模なシェアハウスでも、長年住んでいればそれなりに出会いや別れを見ることになる。カップルになって結婚するために出て行った人、振られて飛び出した人、地元に帰って家業を継ぐと引っ越した人……。
 いろんなドラマがあったけれど、直人が越してきてからは、偶然にもふたりだけのおだやかな生活だった。テラスや中庭のある大きなハウスをぜいたくに使い、シェアハウスの共用スペースでもかなり大胆な行動をとっていた。
 だから本音を言うと沙優は少し残念なのだ。直人とふたりだけの甘い生活が壊されてしまうのだから。
 けれど尚樹の入居は直人の強い希望でもあった。やればできるのに、ずぼらで面倒くさがりの弟が心配らしく、住んでいたアパートの契約が切れるタイミングでこちらに越してくることを強く勧めたのだ。
 兄であれば弟を気遣うのは当然だし、ふたりきりの兄弟ということもある。直人はオレ様なところもあるが本来はとても慈悲深い。沙優を見初めてくれたのも、母ひとり子ひとりという境遇に同情してくれたからだ。
 そうでなければ、会社経営にたずさわる立場の直人が、いち従業員でしかない沙優を恋人になどするはずがない。
 いままでが幸運すぎただけなのだから、寂しいなんて子どもっぽいワガママで直人を困らせたくはなかった。彼の希望に応えるためにも、沙優は尚樹にできるかぎりのもてなしをしたいと考えていた。
 キンコーンと玄関のチャイムが鳴った。

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著  者
イラスト
甲羅まる
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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