快感デコレーション

快感デコレーション 肌に咲く淫らな花びら
第1回

快感デコレーション 肌に咲く淫らな花びら

2015/05/29公開
◇◇◇

 心臓がドドドと激しく動いている。
 こんなことしては、イケない。ダメなのに手が伸びてしまう。
 私は異常なのかもしれない。でも、触れたい。
 どうしても我慢することができなかった。


 私、川岸鈴(かわぎしすず)はcorolle(コロール)という会社の事務員として働いている。corolleはウエディングドレスの花冠を作っている会社だ。
 20畳ほどの事務所は都内の住宅街にある。1階は事務所と来客室、花冠作りを教えている教室があり、2階はデザイナーのアトリエになっている。夜になれば、あたりは東京と思えないほど静かだ。まわりには比較的自然もある。
「さて、帰ろうかな」
 ロッカーに置いてある鏡を見てセミロングヘアを手櫛(てぐし)で整えた。
 鏡に映るのは、いかにもおとなしそうな地味な顔。奥二重で色が白くて覇気(はき)がない。こんなんじゃ……誰にも愛されない。
 家に帰って新作の乙女ゲームをする予定くらいしかない私にはもちろん彼氏はいない。
 小さなため息をついて、ふっと隣のロッカーに視線を動かした。あの中には石黒(いしぐろ)社長のスーツとネクタイがある。
 私はずっと石黒社長に恋をしている。
 思いが届かなくても、大好きな人の物に触れたい。
 小学生のころ、クラスの男子が好きな女の子のリコーダーを舐めているというウワサを聞いたことがあった。「気持ち悪い」と当時は思っていたけれど、いまではその気持ちが痛いほどわかる。こんな気持ちになるのは異常なのかもしれない。
 隣のロッカーに手を伸ばして扉に指をかけた。だけど開ける勇気はなくて、指がふるえてしまう。指先がすごく冷たい。
 時計を確認する。もう21時をすぎているから今日は誰も戻ってこないはずだ。だから少しだけなら大丈夫……と自分に言い訳をする。
 葛藤の末、私は石黒社長のロッカーをついに開けてしまった。さわやかな香りが鼻を通り抜けていく。ブランド物のスーツとネクタイがきちっとかけてあった。
(これが石黒社長の……)
 そう思えば思うほど興奮してしまう。ネクタイにそっと触れる。指先が熱くなる。もっと触りたい。触れた瞬間、欲望があふれ出してコントロールできなくなってしまい、思わず中からネクタイとジャケットを取り出してしまった。
 ロッカーに背をつけて立ったまま、石黒社長のジャケットを抱きしめた。
(あぁ……社長の香りがする)
 今度は袖を通してみたくなる。そろりと腕を入れてみると予想以上に袖が長い。
 細くて筋肉質。指が長くて綺麗で、短髪の黒髪が清潔感を漂わせている社長。ジャケットを着て自分を抱きしめると、まるで社長に抱きしめられているみたいだ。
 あぁ、こんなふうにきつく抱きしめてほしい。そして胸を揉みしだかれたい。乳首をつまんであの繊細な指でこすり上げてほしい。
 乙女ゲームや恋愛小説に出てくるようなラブシーンを思い浮かべながら、ブラウスのボタンを外していく。ヒーローはもちろん社長。キャミソールをまくり上げて、ブラジャーの上から胸を揉む。誰もいないオフィスで秘密の残業。
 あぁ、萌えるシチュエーションだ。
「……んっ。ダメです、社長……ぁん」
 社長の衣服に包まれながらのオナニーは興奮が増す。
 フロントホックのブラジャーを外すと、胸がぷるんと解放された。胸の突起が赤くふくれて痛いほどだ。
 社長に触れられてみたい。
 でも、この夢は叶うことはないだろう。
 私は2年前に告白をして振られているからだ。10も年下の地味な女では無理とわかっていても伝えずにはいられなかった。
 叶うわけがない夢だからこそ、妄想は膨らんでいく。

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快感デコレーション

快感デコレーション肌に咲く淫らな花びら

著  者
ひなの琴莉
イラスト
はつはる
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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