理系男子の童貞を奪ったらたいへんなことになりました

「僕のこと、いつまで焦らすつもりなんですか?」 新條真帆、26歳の誕生日。なんでいきなりプロポーズされてるの?
第1回

「僕のこと、いつまで焦らすつもりなんですか?」 新條真帆、26歳の誕生日。なんでいきなりプロポーズされてるの?

理系男子の童貞を奪ったら
2015/09/25公開
 夜の9時。私はレインボーブリッジの見える公園で、真っ赤なバラの花束を差し出されて、唖然として立ち尽くしている。
 目の前にはひざまずいたスーツ姿の青年。
 「お誕生日おめでとうございます」
 「あ……りがと」
 ──彼は、すっきりとした顔立ちにメタルフレームのオーソドックスなメガネをかけていて、フォーマルなスーツを着ている。彼の名は本橋敬一《もとはしけいいち》さんといって、私よりふたつ年上の男性。
 製薬会社に勤めており、副作用の少ない抗がん剤の研究をしているらしく、専門誌に論文を寄稿したり、学術学会で発表したりと、かなり優秀な人。
 以前に一度、論文を見せてもらったことがあったけれど、すべて英語で書かれていた。見慣れない化学構造式などもあって、理系に疎い私にはさっぱりわからなかった。
 それについて質問したりなんかすれば、最後。
 延々と難しい話を楽しそうに繰り広げるものだからたいへん。……しかも長い。
 でも知的な彼は、いろんなことに対して詳しいし、たくさん教えてくれるから尊敬している部分が多いこともたしかで。
 2ヵ月に一度のペースで食事をしたり、映画を観たりする程度の友だちなんだけど……。
 「真帆ちゃん。結論から言います」
 「は、はい……」
 今日は私、新條真帆の26回目の誕生日。どうしても会って話がしたいと彼に言われて、ここまで来たのはいいけれど、予想外の展開に少々戸惑っている。
 「僕と結婚してください!」


 はあっ!?


 予想の斜め上をいく言葉に、思わず腰を抜かしそうになる。
 ちょっと待って、ちょっと待って。結婚って言った? 結婚って言ったよね?
 結婚って、ええと……私の記憶が正しければ、交際しているふたりがするものっていうのが一般的だと思うんだけど。
 私たち、付き合っていないよね……。
 「話が飛躍しすぎて、意味がわかんないよ!」
 私たちは、3年前に会社の先輩が開催してくれた合コンで出会ってから、ずっと友だちとしていままで仲良くしてきたけれど、付き合うというたぐいの話は出たことがなかったよね? それなのに、どうして……?
 「どうしたも、こうしたもありませんよ。僕のこと、いつまで焦らすつもりなんですか?」
 「焦らす……?」
 「そうです。君が僕の童貞を奪ったことを忘れたんですか?」
 「――――っ」
 やめて、やめて!
 それは私の若かりしころのあやまちというか、黒歴史なの! もう遠い記憶の彼方に葬ったのよーっ。
 「まさか、忘れたんですか?」
 「い、いいえ……そうじゃないけど……」
 彼は立ち上がって、私のほうへ押し迫ってくる。長身の彼に迫られると圧倒されてしまって、後退りしてしまう。
 ……そう、私たち、付き合うという話をしたことはないのだけれど、一度だけ……そういう関係を持ってしまった仲なのだ。

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理系男子の童貞を奪ったらたいへんなことになりました

理系男子の童貞を奪ったらたいへんなことになりました

著  者
藍川せりか
イラスト
淀川ゆお
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
シリーズ
理系男子の童貞を奪ったら
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