CEOは激しく奪う

CEOは激しく奪う デートガールは甘美な淫戯に濡れ乱れ
第1回

CEOは激しく奪う デートガールは甘美な淫戯に濡れ乱れ

2016/08/26公開
 本庄理沙(ほんじょうりさ)、27歳。
 好きなこと、もの――ネイル、メイク、ファッション誌を読むこと。自分磨き。猫とハムスター。即レス。
 嫌いなこと、もの――ねずみ、犬。セクハラする大人。計算、遅レス。
 職業――デートガール。



「仕事は去年辞めたわ。セクハラされたから」

 本庄理沙は初デートの際に、ほとんどと言っていいほどこのことを話す。たいていの男はこう言うと優しく接しようと努めてくれる。

「セクハラって、身体をさわられたとか?」

「それもそうだけど、言葉でも。お尻が、とか胸が、とか。ほめてくれているのだろうけど、なんていうか……。愛を省いた“性”の対象にされている感じかな」

 自分の中では冷めた感情を、理沙はなるべく寂しそうに口にする。それはひとつのテクニックだった。ただの嫌悪として受けとられては仕事とは言えない。
 理沙の話を聞いているのは会社役員。さえない顔の独身男性だが、身なりはとてもよく。身に着けているものはブランドもの。

「会社の地位と自分の実力をはき違えているんだろうね。そういう人材は悲しいけれど、うちにもたくさんいるんだ。女性はそんなとき、はっきり嫌いと言ってしまえばいいんじゃないかな?」

「そうなんですね……。でも、求められていることがうれしくて、やっぱり言えないんですよ。男性なら好きと言われても、嫌いってはっきり言えるんですか? 近藤さん」

「それは…………、無理だね」

 高級中華料理の回転テーブルの前で、苦笑いしながらさえない顔の近藤(こんどう)という男が応える。理沙は慣れた笑みを近藤に向ける。それは男受けのいいように、鏡の前で何度も作り上げた笑顔だ。

「でしょ?」

 近藤はその笑みに気をよくした。デレデレと表情をくずして、だらしなく笑う。

「理沙ちゃんはきれいだから、つい自分のものにしたくなるだろうね」

 そう言って近藤は理沙の手をにぎる。照れくさそうに理沙はその手をにぎり返していた。それはまわりから見れば、あきらかに恋人同士の光景だった。見つめ合い、照れながら愛を語らうように見える。

「もう時間ですよ」

 明るい声で、まるで「好き」と甘くささやく恋人の表情で理沙は言う。
 近藤はあわてて時計を見た。針は午後9時をさしていた。

「あ、いやちょっと待って! まだ食事も終えていないよ!」

「私は食べ終わりましたよ。どうします? 延長します?」

 ブランドのショルダーに小物をしまいながら理沙はたずねる。明るく笑顔で話しているが、近藤にはひどくドライな印象を与える。

「いくら時間厳守だからって、これじゃデートの途中じゃないか」

 近藤がくやしそうに理沙に言った。テーブルの上には食べ残しの料理が並んでいた。

「それは近藤さんの分でしょう? 私はいただきました」

「そんな……」

 なにか言いたそうにしている近藤を無視するように理沙は立ち上がり、店の出口に歩いていく。

「ちょっと、せめて送るよ!」

 追いすがる近藤に振り向き、理沙は言う。

「それって、延長ってことですよね? よかった! 今月苦しいんですよぉ」

 満面の笑みを向けられて、近藤はしぶしぶうなずくのだった。

[本阿弥香澄 作品一覧]
蓮華の咎 ドSな双子は淫靡に激しく奪いあう

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CEOは激しく奪う

CEOは激しく奪うデートガールは甘美な淫戯に濡れ乱れ

著  者
本阿弥香澄
イラスト
ルシヴィオ
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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