CEOは激しく奪う

CEOは激しく奪う デートガールは甘美な淫戯に濡れ乱れ
第2回

CEOは激しく奪う デートガールは甘美な淫戯に濡れ乱れ

2016/08/29公開
 デートガール、というのは理沙が勝手につけたこの職業の名前だった。
 女性とのデートを願う男性と、一定の時間恋人としてともにすごし、報酬をもらう。理沙はSNSで相手を募集し、依頼があればこうやって男性とデートをしていた。
 この仕事をはじめたのにも理由がある。
 以前はOLだった理沙は、上司からセクハラを受けて会社を辞めた。会社を訴えようともしたが、実際はあらゆる権力で棄却され続け、自己都合で退職せざるを得なくなってしまった。
 再就職の目途もたたず困っていた理沙に、セクハラを行っていた上司から連絡が来る。

“デートしてくれたら、お金をあげるよ”

 その上司は独身だった。ひとり暮らしでお金に困っていた理沙は時間とあるルールを決めて、その申し出を受けることにした。
 2時間で一万円。恋人のようにふるまうが、身体の関係はないことが条件。
 相場は高いかもと思ったが、それでいいと申し出を断らなかった上司に理沙は驚いた。
 結局退職に追い込んだ当人でもあったため、理沙はデートをしなかった。それでも、デートだけでお金がもらえるのであれば、と理沙の心は動いていた。
 仕事にできるのかと興味本位で条件をSNSにあげると、意外なことに需要があった。
 何人かの男性と連絡をとり、実際にデートをするうちに、こんなふうに手慣れてしまった。


「ああ、そう言えば今度の土曜日は空いているかな?」

 延長を受け入れた近藤が、夜のバーで理沙とのひとときをすごしてタクシー乗り場で待つあいだ、そう言った。

「土曜日ですか?」

 理沙は手帳を開いてスケジュールを確認する。需要はあるがデートガールを利用する男性は正直あまり多くはない。近藤のように何度も利用してくれる顧客はとても大事な存在だったが、それでもすぐに返事をすれば足もとを見られる。
 近藤を乗せるタクシーが到着するまで、時間をもたせるために手帳を見つめている。眼前にタクシーを見つけると理沙は手帳から視線を上げる。

「……いまのところ空いてますよ? 予定を入れてくださるのですか?」

 明るい口調で言うとタクシーのドアが開いた。近藤はうなずきながら半身をその扉に入れていた。

「ああ、デートじゃあないんだけど、空けておいてほしいんだ」

「なにがあるんですか?」

「その日に接待があって、コンパニオンとして来てほしいんだけど、いいかな?」

 理沙はその瞬間、「デートをするのが仕事であって、それは違う仕事になる」、と否定しようとしたが、近藤の言葉のほうが早かった。

「経費で落とすし、ひと晩でいつもの5倍出せるよ」

 理沙は思わず否定する言葉を飲み込んだ。
 実入りが多いわけではない。仕事がない日のほうが多いのだから、稼げるときには稼ぎたい。

「…………一応、予定は空けておきます」

「そうか。また連絡してくれるかな?」

 タクシーに身体をあずけて、ドアが閉まる直前に近藤はそう言い残した。
 ガラス越しに機嫌のよさそうな顔で近藤は手を振っている。理沙もその揺れる手に応えて手を振り返す。当然笑顔で。
 ――やった!
 ひと晩で5倍、という言葉に心が躍った。
 タクシーが視界から消えると、返信のメール文を作りはじめているほどだった。

[本阿弥香澄 作品一覧]
蓮華の咎 ドSな双子は淫靡に激しく奪いあう

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CEOは激しく奪う

CEOは激しく奪うデートガールは甘美な淫戯に濡れ乱れ

著  者
本阿弥香澄
イラスト
ルシヴィオ
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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