宝石王子の溺愛ビジュー

宝石王子の溺愛ビジュー
第3回

宝石王子の溺愛ビジュー

2016/10/31公開
「ふぁ、あ……なぁ、や……ッ」

 確かめるように唇で愛撫を繰り返す瑞貴に、とうとう穂香は立っていられなくなった。
 力の入らない体を壁にもたれさせようとすると、瑞貴の腕が背に添えられそれを阻止される。
 抱き合うようなかたちになったふたりは、幾度となく唇を重ね合わせた。

「んぁ、あ……ふッ……んむ、ぅ」

 舌先を絡ませながら、瑞貴は薄く大きな手のひらをスーツにすべり込ませた。
 シャツの上からやわらかい胸を包み込み、大きくかたちを変える。強くはあるが乱暴ではないその行為に、慣れないくちづけを繰り返していた穂香は体を震わせる。

「っぁ……ん、なに……っは、ぶちょ、う」

「えっと、西嶋――穂香さん? かわいいね、まさかこういうことするの、はじめて?」

 首から下がったネームプレートを見つめながら、瑞貴がささやく。
 この暗がりの中でよく名前が見えたものだと感心したが、そんな考えもすぐに快楽の波がさらっていく。
 器用にシャツの上からブラをずらした瑞貴は、さらに体を密着させて穂香を絡めとる。
 そうしてその指先が胸のいただきをつまんだとき、穂香は思わず悲鳴を上げようとした。

「や――んんっ!」

「……こらこら、大きな声を出したら人が来ちゃうだろう? せっかく理想のモデルに出会えたんだ。もう少しこのまま堪能させてくれない?」

「モデル……? さ、さっきからなんなんですか。エグなんとか、とか……」

「エグランティーナ。野薔薇っていう意味ね」

 とっさに唇をふさがれた穂香は、それから解放されるとおびえたように自分の肩を抱いた。
 瑞貴は視線をやや斜め上に向けると、少し考えるそぶりを見せてから口を開く。

「エグランティーナ・プロジェクト。いま俺が主軸で動いてるプロジェクトで、ユゥエル・ツキミヤの発表する新しいジュエリーシリーズのこと」

 瑞貴は歌うようにそう言って、もう一度穂香の肩をつかんだ。
 今度は逃げられないほど強くつかまれたわけではない。だが、逆光にふちどられほほえむ彼の姿に一瞬だけ身動きを忘れてしまった。

「シリーズ全般を担当するモデルは決まってるんだけど、やっぱりなんか違うんだよね。俺が求めてる『エグランティーナ』っていうのは、もっと素朴で磨きがいがある、まだ開ききらない蕾のような女性なんだ」

 つ、と、長い指先が肩から鎖骨を伝い、穂香の唇に触れる。

「俺は、開花する直前の花が開く瞬間をデザインしたい――君は俺の理想をそのまま目の前に持ってきたみたいな女性だよ」

 26歳になるいままで、穂香は男性からそんなふうに言われたことは一度もなかった。
 派手な服装やメイクもしたことがない。大企業に勤めていても、周囲の同僚が華々しくても、穂香はよく言えば落ち着いた、悪く言えば地味な格好をして日々を過ごしている。

「でもそのままじゃ色気がないな。君がもっと恥じらって、花開く様が見てみたい」

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宝石王子の溺愛ビジュー

宝石王子の溺愛ビジュー

著  者
沙布らぶ
イラスト
中田恵
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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