この恋テイクアウトで

この恋テイクアウトで 年下ワンコの不埒な独占欲
第1回

この恋テイクアウトで 年下ワンコの不埒な独占欲

この恋テイクアウトで
2016/12/27公開
「雄大(ゆうだい)。これはいったいどういうことなの?」

「えっへへー」

 今日はふたりで過ごす休日。
 彼の地元に遊びに行こうってことで、レンタカーを借りて出発したはずなのに、到着したのは自然溢れる大きな公園。
 しかも目の前にはバーベキューセットがずらりと並んでいて、若い男女が20人ほど集まっている。

「雄大、遅かったね。もう始めてるよ~」

「あ、そちらが噂の彼女?」

「初めまして!」

 雄大からの説明の前に、目の前の若者たちが私の前に群がる。
 男の子も女の子もかわいくて、私には犬がじゃれてきているようにしか見えない。

「あ、あの……」

「ごめんね、菜々子(ななこ)さん。コイツらは、俺の地元の友だちたちなんだ。バーベキューするから彼女を連れてこいって言われてさ」

 ――ええっ。いまからここに混ざるの? そんなの聞いてないよ!

「だって雄大が、彼女のことすっごく自慢するんだもん、会いたくなっちゃうよ」

「でも本当、キレイな人! 雄大、やるぅー。よく相手にしてもらえたね」

「だろー?」

 だろー、じゃないよ。そこは「そんなことない」って謙遜しなきゃ。みんな、気を遣ってお世辞を言ってくれているんだから、真に受けちゃだめだよ。
 それよりも。この若者の集団に、年上は私だけ……。いったいこれはどうしたものか。
 事前に知っていたら、行かないと言っていただろうと思うこの状況にあぜんとしていると、雄大はいたずらな笑みを浮かべてペロっと舌を出した。
 テヘっと言わんばかりに舌を出すしぐさの似合う永山(ながやま)雄大(25)は私、倉田(くらた)菜々子(30)の彼氏。
 笑顔は王子さまのようにまぶしく、さわやかで男っぽいところを持ちつつ、甘え上手のかわいいオトコノコ。
 彼とは会社の先輩後輩の仲だったのだけれど、ふたりで一緒に出張に行った帰りにひと芝居打たれてだまされた私は、ホテルに連れ込まれてそのまま……男女の仲になってしまった。
 5つも年下の、しかも直属の後輩と関係を持ってしまったことに激しく後悔したのに、それだけでは収まらず、彼からの情熱的な求愛を受けて、私たちは恋人同士になった。
 かわいい顔をしているくせに、妙に強引で。いつも彼のペースに巻き込まれてしまう。
 雄大の顔を見るとだめなの。うちの実家で飼っているキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルという犬種のモカに似ているから、どうも負けてしまう。

「もう……」

 ここまで来ておいて帰るなんて言い出せないので、このままあきらめて参加することにした。
 それにしても、若いってすばらしいな……。
 参加している女の子たちのショートパンツから伸びる細い脚に釘づけになる。つやのある脚なんてピチピチで、見ているだけで眼福。シャツから出ている二の腕もしかり。
 こんな魅力的な女の子たちと友だちなのに、雄大はどうして私なんて選んだんだろう……。
 少し離れた場所でお肉を食べている女の子たちを眺めていると、目の前に紙皿を差しだされた。

「はい、菜々子さん」

「あ、ありがとう……」

 紙皿に山盛りに乗ったお肉と缶ビールを渡された。ひとりでこんなに食べられないような量が乗っていて苦笑する。

「雄大、これ……多すぎない?」

「ほんと? 俺と菜々子さんの分だよ。ねえ、いま手が離せないから食べさせて」

 肉焼き用のトングを持っていて忙しいんだ、とアピールしてくる雄大は口を大きく開けてお肉を食べさせてもらえるのをいまかと待っている。
 ちょっと待って。こんな人前で、あーんなんて恥ずかしいよ。本気で言っているの?
 戸惑ったまま雄大を見ていると、もう一度「あーん!」と言って催促してくる。

「もう……」

 結局雄大に負けてしまって、わりばしでお肉を一枚持ち上げると彼の口へと運んであげた。

「はい」

「んんーっ、おいしい! 菜々子さん、ありがとう」

 その顔、ズルい。そんなかわいい顔でほほえみかけられると、年甲斐もなくキュンキュンしてしまうじゃない。
 急速に高まっていく胸のドキドキを抑えようと、視線をそらして息を吐いた。

「雄大、ラブラブだなー」

「そうだよ! ね、菜々子さん」

 私たちの様子を見ていた男の子にはやしたてられても、まったく動じない雄大は堂々としている。
 ね、じゃない。同意を求められても困るよ。そんなこと言えるわけないでしょ。
 上機嫌でバーベキューをしている雄大を見ながら、お肉を食べていると、女の子たちが私のそばにやってきた。

「雄大とは同じ会社なんですよね?」

「どうやって告られたんですか~?」

「普段、どんなデートしてるんですか?」

「そのネイルかわいいですね! どこでやってるんですか?」

 あああっ。若くてかわいい女の子に囲まれてしまった。しかもみんなひとなつこくて、初めて現われたアラサー女にもこんなに優しく接してくれるなんて、なんていい子たちなんだろう……。

「おい、おまえら! 菜々子さんを困らせるなよな」

「べつに困らせてないよ! ウチら菜々子さんに興味津々なの。だってキレイなんだもん~」

「あたりまえだろ、俺の彼女なんだから」

 さらっとそういうことを言ってのける雄大のことを、いけないと思いつつも喜んでしまっている私。
 若い女の子たちを見て自信喪失していたというのに、そんなことを吹き飛ばしてくれる雄大の言葉。なにげなく言ってくれている言葉にずいぶんと助けられている。
 突然連れてこられたバーベキューだったけれど、雄大の友だちがいい子ばかりだったので、楽しく過ごすことができた。

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この恋テイクアウトで 年下ワンコの発情宣言

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この恋テイクアウトで

この恋テイクアウトで年下ワンコの不埒な独占欲

著  者
藍川せりか
イラスト
青梨
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
シリーズ
この恋テイクアウトで
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