甘美な束縛懲戒

束縛懲戒の果てに(3)
第16回

束縛懲戒の果てに(3)

2017/05/19 ~ 2017/05/26 まで公開
(でも……)

 佳織は自分のなかで、違う答えを見いだしていた。

(それはクロードと、彼のフェティシズムに応え、共有できることができたから……そのことで、彼を悦ばせることができたから……)

 クロードの言葉が正しいのか。自分の考えが正しいのか。はたまたどちらも正しいのか。性の悦びに酔い、恍惚の世界に漂い始めた佳織にはわからない。
 わからないが、そんな些細なことはもうどうでもいい。
 クロードが悦び、自分も悦んでいることに変わりはないのだから。
 そう考えて、佳織はクロードとの行為にのめり込んでいく。
 彼のストロークが、しだいに速く激しくなってきた。
 ズン。と強く突き込まれ。

「あふぁあっ」

 あられもなくあえぐ。
 それより少しゆっくりしたペースで引いていくと。

「はぅうぅん」

 つやめいてあえぐ。

「はふぁあっ」

 ふたたびズンと突き込まれて押し寄せた大きな快感に飲まれ、腕の力が抜け、シーツの上につっぷしてしまった。

「佳織さん、しゃんとしなさい!」

 すると叱責されて、お尻をピシャリと叩かれた。
 恍惚の世界に入り込んでいた佳織は、その痛みすら快感ととらえて艶声を漏らしてしまう。

「はぁあんっ」

 ビリビリとしびれるような快感に酔いながらも、クロードの期待に応えようと身を起こしたところで、彼のストロークがさらに激しさを増した。
 彼の昂ぶりに呼応するように、佳織の快感も大きくなった。
 大きくなった快感に飲み込まれ、ふたたび腕から力が抜ける。
 シーツの上に上半身を突っ伏したところで、叱責のスパンキング。
 痛い――はず。
 でも気持ちいい。
 もしかすると佳織が痛みより快感を強く感じる強さを把握したクロードが、そうなるように力加減をして叩いているのかもしれない。
 一瞬そう考えて、でも圧倒的な快感の奔流に思考ごと押し流されてしまう。
 もうなにも考えられない。
 もう腕に力は入らない。
 シーツにつっ伏したまま、起き上がることはできない。
 押し寄せる快感のなかでは、叱責されながらのスパンキングも、より快感を増幅させるスパイスにしかならない。
 もはや叱責の言葉も、スパンキングも、激しいストロークも、クロードが与えてくれるものすべてが、佳織の悦び。
 そんな佳織の艶気にあてられたのか、クロードの動きがますます激しくなる。いつしか叱責の言葉は聞かれなくなり、ただ佳織を呼ぶ声だけが聞こえるようになる。

(彼も……わたしと同じように……)

 前後不覚になるほど昂ぶっているのだと感じ、そのことでますます悦びが大きくなる。
 大きくなった悦びが、佳織の理性を飲み込んで押し流す。
 そしてついに、そのときが来た。

「ふはっ、ひっ……!」

 追い詰められ、追い上げられた佳織が、熱い吐息を漏らし、シーツをぎゅっと握る。

「佳織さん!」

 いよいよ高まったクロードが、切羽詰まって佳織を呼ぶ。
 彼の声に応えようとして、でも言葉は悦びの声にしかならない。
 押し寄せる快感の奔流に飲み込まれ、押し流され、恍惚の世界へと追い上げられながら。
 愛しい彼が自分の中で果てた実感を感じながら――。
 佳織もかつて経験したことのない大きな悦びのなかで、性の高みへとたどり着いた。

 たどり着いた高みから下りてくる。
 しだいに覚醒してくる。
 どうやら身体の側面を下にして、横たえられているようだ。
 お尻がまだ熱を持って、ジンジンと疼いている。気だるい。身体に力が入りにくい。でも心は満たされている。
 ゆっくりと目を開けると、クロードの顔。彼を求めるように手を伸ばして、まだ拘束されていることに気づいた。
 佳織の両手をとらえる手枷、サスペンションカフをあらためて見る。
 ぶ厚い革。きっちりと締め込まれた3本のベルト。武骨な見ためどおりの堅牢な枷は佳織の指のつけ根まで拘束し、自力で外すことは不可能。
 しかし、厳しく拘束された手には、痛みもしびれもない。

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ドS社長は緊縛師 熱い指に囚われて

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甘美な束縛懲戒

甘美な束縛懲戒ご主人さまはイケメン大使

著  者
田中まさみ
イラスト
不破希海
レーベル
eロマンス文庫
価  格
454 円(税抜)
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