傲慢公爵様の人魚姫[1]

プロローグ
第1回

プロローグ

人魚姫
2017/11/24公開
「ジェニーは俺を信じていないんだろう?」
 窓越しの日ざしを受けてきらめく髪に、若き公爵は口づける。
 ジェニーは、長椅子に伸びた彼の脚をまたがされていた。ドレスをくぐって下肢にふれているのは彼の手だ。その動きに、ジェニーの思考は甘く溶かされている。
「信じてもらえるまで何度でも伝えようか。きみが好きだよ」
 静かな声でささやかれる。
 ジェニーのなかに長い指が差し込まれ、蜜のしたたる襞を優しくなでられている。
 みだらな水音が深まり、とろけるように体内が甘くしびれて、こらえきれずジェニーは彼に指先ですがった。
「っ、ルーク……」
「声も。瞳の色やつめの先まで、すべてかわいい」
 秋風が吹き込まないよう窓は閉めきられている。つめたい風にジェニーが弱いことを、ルークは知っているのだ。
 長い指がゆっくりと奥へ差し込まれていく。感じやすいところをすり上げられて、とろけるような快楽に、ジェニーは侵されていった。
「だめ……ルーク。もう、こんなこと、しちゃ……、っあ、ん」
 弱いところを知りつくした指先に体内をかかれ、気持ちよさに抵抗の意思が折れる。彼とのあいだに線を引かなくてはならないのに、ジェニーはいつも失敗する。
 ルークの指がいま愛でているところ、そこからすんなり伸びる両脚は、海水にふれると魚の尾に変化する。
 ジェニーは人魚だ。人間ではない。
(尾なんてなくなってしまえばいいのに)
 涙があふれそうになって喉が震えた。すると、力強い彼の腕に抱きよせられ、ささやきが耳にふれる。
「きみがなにをいま考えているのか当てようか」
 体がこわばる。奥に飲み込ませているのとは別の指が、濡れた秘裂をなで始めた。
「あ、待っ……」
 蜜の満ちた隘路へ一本目に添うように、ぬちゅ……と指が押し込まれていく。
「ア……、あ……っ!」
 びくんびくんと腰が跳ねた。圧迫感と、それをしのぐ気持ちよさに体が震える。そろえた指で弱い箇所をくちゅくちゅとすり立てられた。
「だめ……、だめ……っ」
 耐えきれず、逃げるように腰を引いた。しかし、別の手にあごをとらえられくちびるを奪われてしまう。
「ん、ぅ……っ」
 甘い果肉を味わうように、ルークはジェニーを食んでいく。薄くひらいた口のなかに舌が差し込まれた。自身のそれを絡めとられ、甘く噛まれて、ジェニーの抵抗はまた崩れ落ちる。
 上と下とをいやらしくかき混ぜられれば、ジェニーになすすべはなかった。みだらな熱が体内に折り重なり、いつ弾(はじ)けてもおかしくないところまで高められていく。
「ん……っ、ァ……!」
「かわいい声だ。もっと啼いてごらん」
 口づけのあいまにささやかれる。ごく間近にルークの瞳があり、緑色をしたそれは情欲に濡れていた。
「ひ、あ……ッ!」
 ルークの親指がふれたのは、これまで放っておかれていた小さな粒だった。花びらの奥にあったそれを優しくなで上げられただけで激しい快楽に侵される。
「ぁ、やあ、ルーク……ッ」
 媚肉にもぐりこんだ指が、粒の根元から薄皮をむき上げた。ひりつくほど敏感なそこを、彼の指が這いまわる。
 ルークの着ている仕立てのいいシャツを、ジェニーは握りこんだ。ルークだけでなくジェニーも着衣したままだ。
(まだ明るいうちからこんなことをして)
 使用人たちは、閉めきられた室内でふたりが何をしているのか気づいているに違いない。
 蜜がたっぷり満ちる膣に、長い指を抜き差しされている。ぷくりとふくれた肉芽は円を描くようになでられ続けた。ときおり強弱をつけて揉み込まれ、ジェニーは深く惑乱する。
「ァ、ああん……っ! ルーク、ルーク」
 彼にすがりつく。布越しでもわかるほど鍛えあげられた体は、ジェニーを優しく受けとめてくれる。
 とろけるような蜜孔に二本の指が深々と穿たれ、最奥をえぐられた。
「ァ、ああっ!」
 体が震える。
「やぁ……っ、イっちゃう、ルーク……っ」
 こわばる体に彼の片腕がまわり、きつく抱きしめられた。
 一度引いた指をまた奥にねじこまれながら、下肢の尖りを押しつぶされる。
「きゃああっ」
 快楽の凝りが弾けた。絶頂に達した膣肉がルークの指を食い締める。
 振りきるように抜かれた直後、腰を軽く浮かされて熱い昂ぶりに下からズクリと貫かれた。
「──っ、ひ、ぁ、あ……っ」
「ジェニー」
 耳に、低くかすれた声がふれた。
「愛してるよ」
 この瞬間、ジェニーはいつも信じてしまいそうになる。
 本当に愛されているのかもしれないと。
 愛玩動物としてではなく恋人として──これから先もずっと愛してもらえるのかもしれないと。
 ぐちゅ……と前後に揺さぶられる。子宮の底をじっくりとえぐられて、小さな終わりをジェニーは迎えた。
「あッ……、ん」
「愛してるよ、ジェニー」
 甘い睦言と快楽とに飲み込まれそうになる。
 彼と同じ言葉を返してしまいそうになる。
(でも、だめ。そうじゃないもの)
 あのときルークは来てくれなかった。十年前に交わした再会の約束を、はたしてくれなかった。
 それどころか、ルークは、十年前にジェニーと出会っていたことすら覚えていない。つまり、ルークにとってジェニーは──人魚という愛玩動物は、その程度の存在なのだ。いまはかわいがってくれているかもしれないが、数日後、数年後には、あっけなく捨てられてしまうかもしれない。
 ジェニーの懊悩に追い打ちをかけたのは、ルークの婚約者と名乗る少女の存在だった。上品なドレスに身を包んだ彼女が訪ねてきたのは、つい先日のことだ。
 彼女は告げた。
 人間と人魚は結ばれないと。
 ルークの妻にふさわしいのは、由緒ある家の息女である自分だと。貴族でも人間でもないジェニーは、その資格を持たないと。
 ルークは「婚約を交わした覚えはない」とすぐに否定したけれど、彼女の言葉はずっとジェニーの心に刺さり続けている。
(これ以上傷つく前に──)
 身を引いて海へ帰ったほうがいいのではないか。誰にとってもその選択が最良なのではないか。
 この考えに、ジェニーはずっと囚われている。
「──ッあ、ああっ!」
 いっそう深くえぐり込まれて思考がとんだ。強く抱きしめられて、固い胸の動きで彼が息を短く吐き出したのがわかった。
「なにか、よそごとを?」
「……っ、ルーク」
 強く突き上げられる。
「あああ……っ!」
「っ、ジェニー」
 くちびるを荒々しく奪われる。間近から見つめてくる双眸に激しい恋情が凝っていた。
「きみは俺のものだ。絶対に離さない」
 かすれた声でささやかれ、猛々しい熱情が叩き込まれた。絶頂までひと息に駆け上がる。膣肉が蠢動して、ルークの肉身を食い締めていく。
 わずかに彼が身を震わせて、さらに深く抱き込まれた。腰の動きでゆっくりと抜き差しされて、白濁と蜜のまじりあったものが下肢を伝う。
 ふたりの熱が室内に深く積もっていた。荒々しく上下する胸を重ねあわせて、求められるままにジェニーはルークとキスを交わした。

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傲慢公爵様の人魚姫[1]

傲慢公爵様の人魚姫[1]月下に濡れる独占愛

著  者
椋本梨戸
イラスト
なおやみか
レーベル
eロマンスロイヤル
価  格
92 円(税抜)
シリーズ
人魚姫
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