――つい数日前まで聖女をやっていたはずなのに、今はなぜこんなところに、魔王城にいるのだろう。
 私は呆然と自分に覆い被さる男の顔を見上げた。
 肩から零れ落ちるくせのない銀の髪に、凍った冬の湖を思わせる青い瞳。秀でた額に整えられた眉と切れ長の目。すっと通った鼻に薄い唇には笑みが浮かんでいる。
 寸分の狂いもない息を吞むほどの美貌だった。神の御業だと言われても納得してしまう美しさだ。
 いや、神というかこいつ魔王なんですけどね。
 男は、魔王は生まれたままの姿の私を見下ろした。
「ほう、瘦せっぽっちだとばかり思っていたが、なかなかいい身体をしているではないか。脱いだらすごいというやつか?」
「……!!」
 恥ずかしさに顔がかっと熱くなるのがわかる。慌てて胸を覆い隠そうとしたけれども、両手をベッドに縫い留められているのを思い出した。
「やめてよ! 離してよ!!」
 身を捩って逃れようとしたのにもかかわらず、私を抑える魔王の力は強くなるばかりだ。なのに、本人は涼しい顔をしているのが憎たらしい。
「諦めろ」
 魔王は私の首筋に顔を落とした。熱い舌がすっと肌をなぞるのを感じ、私はびくりと身体を引きつらせる。
「痛みは感じさせない。極上の快楽を味合わせてやろう」
 指の長い手が右のふくらみを掴む。私はその熱さを感じながら心の中で絶叫した。
 ああ、どうしてこうなった!?

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お役ごめんの聖女ですが、魔王に求婚されています!

お役ごめんの聖女ですが、魔王に求婚されています!

著  者
東 万里央
イラスト
DUO BRAND.
レーベル
eロマンスロイヤル
価  格
1200 円(税抜)
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