eロマンスロイヤル大賞

2025 eロマンスロイヤル大賞
受賞結果発表

応募総数377作品

金賞
  • ワンナイトしたヤンデレ魔術師に愛されすぎて殺されそう
    著者:無憂
選評

まずタイトルに読者の興味を惹くワードを的確にいれていたことが高評価でした。そして貴族あるあるの強制結婚という、ヒロインミシェルの最低なスタートと、「ワンナイト」というTL読者にとっては馴染みやすいエピソードでエヴァンという強烈にヤバいヒーローが登場、甘い展開が続くかと思いきや、いきなりの殺人事件発生と、スピード感ある物語に引きこまれました。物語の背景も、異世界ファンタジーらしく、貴族社会の権力争いや出自問題、平民と貴族の格差、など社会風俗もしっかり描かれており、どん底設定からのシンデレラストーリーが良かったと思います。中盤から読者目線で犯人探しをさせられるようなミステリー感もわくわくしました。「ヤンデレ」ヒーローもギリギリのラインまで攻めて、その狂おしいほどの執着愛を描き切っており、個性が際立ちました。

ピーチ賞
  • 黒騎士さまの寵愛は剣より重いようでして
    著者:紺乃 藍
選評

主役二人をはじめとするキャラクター造形とストーリー展開が魅力の物語でした。高潔なヒロイン・ミレイユが困難に負けず、自分で自分の道を切り拓こうと懸命に努力する姿に大変好感が持てました。対するアルベルクはミレイユに婚約者がいても密かに思い続けた一途さ、またいざというときのミレイユへの溺愛が、読者をときめかせるザ・ヒーローでした。本作の敵役であるユリナも根っからの悪人ではなく、ままならない環境の末の行動であると同情でき、なおかつ最後のお仕置きは思わず可愛らしく思えてしまう展開が見事でした。キスシーンや官能シーンなどは少なくとも、手ずからミレイユに食事を与えたり、何かにつけて世話をしようとするアルベルクの愛情溢れる場面が多く、恋愛小説らしさを演出できていることから、ピーチ賞に選出いたしました。

奨励賞
  • 花の画葬師と氷壁の閣下が捧ぐ 甘美なるアルス・アマトリア
    著者:若島まつ
選評

好奇心旺盛な画家と冷徹侯爵が協力して性教育の教本を作るという設定が大変面白く読める作品です。最初はビジネスパートナー然としていた主役の二人が、徐々に嫉妬したり、甘い関係になっていく過程や会話は、思わず応援したくなりました。シュゾンの自立した女性像も好感が持てました。社交界の雅やかさと陰の部分など、世界観がしっかりと作りこまれ、官能的に美しく描かれている様は、最後までじっくりと読みたいと思わされました。

奨励賞
  • 夫の唯一の欠点に振り回されているけれども、概ね幸せに暮らしています
    著者:喜田 恋
選評

しっかり者の編集者ヒロインと一見頼りない作家ヒーローのカップルがほのぼのと愛を育む物語で、終始微笑ましく読むことができました。日本人然とした容姿のターミャの等身大の姿とコンプレックスを丸ごと愛すライアンの溺愛は、異世界転移ものとして読者の共感を得られるものだと思います。実はライアンが貴族の落し胤であるというシンデレラ設定、取り巻く人々がほぼ善人という読後感の良さも素晴らしかったです。

コミック原作賞
  • こじらせ獅子皇帝は平民の私を伴侶にご所望です
    著者:柴田
選評

「子ライオンのかわいらしさ」「平民ヒロインビアンカの逞しさと努力」「ちょっと天然でずれた皇帝」と、どこかスポ根のようなドラマの面白さが際立っていました。ビアンカがとにかくいい子で、好きな人のために正々堂々と自分の力で皇后の座を射止めようという姿が良かったです。伴侶選抜シーンの少年漫画のような熱いライバル令嬢との闘い、そしてもふもふ要素と、随所にかわいらしさも満載でコミックで読みたくなる作品でした。

コミック原作賞
  • 異世界に召喚されて年下王子といきなり結婚させられたから、初夜で王子を骨抜きにしてやった
    著者:たかね野花
選評

最悪な関係で始まった結婚生活が、タイトル通り初夜で王子が骨抜きにされていく様子がテンポよく活き活きと描かれていました。最近では珍しくなった異世界転移の物語でしたが、アラサーOLの真理恵の元世界での設定・特技が作中でしっかり活かされています。一方のレオは小生意気ながらも賢王の片鱗が感じられ、未来のスパダリを予感させました。キャラクターの表情ややり取りが目に浮かぶ、この二人の物語がもっと読みたいと思わされる作品でした。

コミック原作賞
  • 常闇令嬢の完璧なる鳥籠計画
    著者:赤井茄子
選評

ヒーローもヒロインも揃ってヤンデレという設定と、冒頭のテンポが大変良い作品でした。ドロシーが恋慕をこじらせてフレデリックを拉致監禁しようとする悪役ムーブも面白かったですが、彼のほうが更に深刻なヤンデレでドロシーを監視し、転がしていたという真相には編集部一同笑ってしまいました。複雑な世界設定をスムーズに読ませる筆力も素晴らしく、情景が目に浮かぶような描写も巧みでした。

コミック原作賞
  • その運命は太陽を陰らせる
    著者:赤井茄子
選評

「常闇令嬢の完璧なる鳥籠計画」のヒーロー視点で、フレデリックの生い立ちと感情の変遷、思惑、そしてヤンデレっぷりが余すことなく楽しめる作品でした。ドロシーの視点ではわからないヒロインの良さや能力の真実がスピンオフとしてうまく補完できており、またヤンデレならではの思考の飛躍や暴走など、単体の物語としても読み応えがあります。ヒロイン視点と二作合わせてコミカライズさせていただきたく、受賞といたしました。


【総評】

本年もたくさんのご応募をいただき、バラエティに富んだ作品を楽しく読ませていただきました。最近の作品はタイトルの付け方が巧みで興味を惹きやすいものの、出オチ感が強く、最後までしっかりと物語を描き切る力が不足している作品も多いように感じました。逆に、読んでみるとキャラクターも魅力的で物語の厚みもあるのに、タイトルが地味だったり、内容を的確に表していなかったりと、損をしている作品もありました。また商業TLという点では、官能シーンと日常シーンとのバランスも大事です。商業化を目指すならそういった点にまで意識することも必要だと思います。そんな中、今回はエンターテイメント性と読者目線を意識した作品を金賞として選出しました。その他の受賞作も「読者を楽しませる」というエンタメの初心を大事にしながら、eロマンスロイヤルらしい、「自立したヒロイン」のお話を選出いたしました。昨今はコミカライズ需要も高いことから漫画映えするビジュアル要素があるかどうかも今後は重要なポイントとなっていきそうです。また今後は、過去の作品だけでなく、最新TL市場や流行にアンテナを張った、新作での挑戦にも期待いたします。

※二次選考通過作品の選評は10月下旬の掲載を予定しております。

選評

自己主張をしてこなかった令嬢と自分本位な令息の婚約期間の物語で、ヒロインが覚醒後、穏やかにしかし確実にヒーローを調教していく展開は大変面白かったです。二人がより良い関係に至るエンディングは読後感も良かったですが、ヒロインがヒーローを愛する気持ちはもう少し深掘りできたかと思います。ぜひ長編で挑戦してみてほしい話です。

選評

活発な令嬢と女嫌い騎士の、恋愛指南とケンカップル的要素が合わさった設定が面白かったです。ただ、ヒロインの兄が恋愛指南者として立ち回りすぎてしまい、ヒーローの恋愛的な自主性が薄かった点が残念でした。また、登場人物もそれぞれのキャラクターをもう少し掘り下げるとラストに向けての展開の面白さがUPしたと思います。

選評

ヒロインもヒーローもニセモノ同士で初夜を迎えさせられるという設定が大変面白く、タイトルもインパクトがありました。キャラクターも魅力的な一方で、物語中盤とラストがサブキャラクターの視点が多くなってしまっていました。あと少しエピソードを足し、この二人の心情と当事者の物語を読みたかったという気持ちにさせられました。

選評

18禁乙女ゲームの悪役に転生、地味に生きて断罪を回避しようとするヒロインの王道悪役令嬢ストーリーでした。丁寧にその後の展開やヒロインの心情を描けていますが、タイトルに掛かる「お色気で煽った」の部分だけが、それまでのヒロインからの宰相への恋慕描写の不足で、唐突に感じられてしまい、そこだけが残念でした。

選評

「心の声が聞こえる」という人気ネタで、ヒーロー側が聞こえているという珍しい設定でした。初夜に積極的なヒロインや、体格差ラブなど楽しい要素がてんこ盛りでしたが、物語のキモをヒーローが握っているため、ヒロインの主人公感が薄かったのが残念でした。初夜後にヒーローの秘密を知ってしまう等の発展性があるとより良かったです。

選評

ドラマチックな展開が魅力の物語でした。ヒーローの異形の姿はファンタジー作品として許容の範囲でしたが、ヒロインもヒーローも基本的に困難に対して受け身だったことが気になりました。自分を迫害した要素に対して、お互いの存在・影響によって前に進もうという気持ちの変化があると、物語としてより深みが増すかと思います。

選評

怪力で無骨な女騎士と、彼女に徐々に沼ってしまうチャラ王子の、終始笑って読めるラブコメディでした。ハイテンションな官能や言動は楽しく読めますが、TLとしてはやりすぎ感も否めない印象になっていました。エンディングもあっさりしていたため、二人の気持ちを掘り下げる大団円があると恋愛ものとしてバランスが取れると感じました。

選評

最後の思い出にヒーローを襲うという、暴走型のヒロインはTLでも多いですが、最初に身体を重ねるまでのヒロインの行動や思考がかなり独りよがりで、エピソードでのフォローがないと読者の共感を得にくいかもしれないです。内容がタイトルともやや乖離しており「彼を襲うことにしました」などのほうがわかりやすかったのではと感じました。

選評

定番の18禁乙女ゲー転生ものでノリよく楽しく読めるラブコメで、ヒロインも終始懸命に動き好感が持てました。一方でヒーローがチート過ぎるため困難が彼の気の持ちようで解決してしまうところが気になりました。ヒーローに闇深いトラウマを持たせるなどコミカルシーンとシリアスシーンの明暗を際立たせると物語として完成されると思います。

選評

ずっと両片思いしていた幼馴染が、ヒロインの言葉をきっかけに関係が変わる王道ラブストーリーは、読者の期待を裏切らない展開で大変楽しく読めました。官能シーンも生き生きと描写されていましたが、一方で二人が気持ちが通じ合った後のシーンの描写がなかったため、未来を感じさせるエピソードがあるとさらに読後感が良くなると思います。

選評

現世・前世とリケジョな貧乏令嬢と皇太子という設定は個性的で面白かったです。精霊たちのマスコット感は良かったですが、ややファンタジー設定とお仕事要素が強く、TL的な溺愛要素が薄く感じられてしまいました。キャラクターは良いので官能表現を抜いて、一般向けライトノベルにブラッシュアップしても面白くなる物語だと思います。

選評

婚約者に浮気され、腹いせに自分も浮気しようとして第二王子と結ばれる王道の溺愛物語でした。短いながらヒロインが本当は婚約者よりも第二王子に恋慕を持っていた描写などしっかり描かれています。しかし物語がワンナイト直後のヒーロー視点で終わってしまってしまい、ヒロインのその後が読めなかったのが、キャラが良い分残念に感じました。

選評

魔力暴走を鎮めるために、治療として身体接触をすることになるというヒロインの設定は、官能シーンに繋げやすく定番です。ヒーローのヒロインに対する執着や、魔力暴走の理由が、過去の二人に関係あるというのも独創的でしたが、暴走を鎮める官能シーンの回数を重ねるごとに深まる二人の気持ちがもっと描かれるとよかったと思います。

選評

ヒロインがアザラシに変身という設定は、今回の応募作品の中でもかなり斬新でした。なぜアザラシなのかという理由も納得できるもので面白かったですが、ヒロインが人間姿のターンが短く、コミカライズした時にもほぼ画面がアザラシになってしまう危惧がありました。人間姿でのヒロインとヒーローのエピソードがもう少しあるとより良かったです。

選評

竜族とユニコーンがヒロインを取り合う設定が大変面白く、特にヒロインが処女でなくなってしまったことに気づき大騒ぎするユニコーンのシーンは笑いながら読めました。一方で一夜限りだと思っていた相手が竜族の王太子と知ったヒロインが、ヒーローの積極的な求愛に絆されていく様子や、お互いの恋愛感情をもっと盛り上げられるとよかったです。

選評

数奇な運命で結ばれた聖女と竜騎士の、どこか寓話的で切なくも美しい話でした。力を失ってしまった聖女と、彼女の元に通い続けた騎士の関係が、昔の出会い、初めて体を重ねた六年前の出来事などが明かされていく中で、強い想いで繋がっていたとわかり感動できます。ただ物語運びが淡々とし過ぎていて、全体的に盛り上がりに欠けると感じました。

選評

「死神令嬢」というワードがまず目を引きました。不思議な不幸に見舞われる主人公が冷酷と噂される王と結ばれることで運命が好転するシンデレラストーリーは、TL読者に好まれる王道展開で、よく描き切れていたと思います。一方で本作独自の設定や展開など独創性の点で物足りなさを感じました。この話ならではの要素があるとよかったです。

選評

婚約相手に何らかの理由で自分の存在を忘れられてしまうというどん底スタートから、徐々にヒーローがヒロインを思い出し、また好きになっていく過程が楽しめる話でした。恋人であったことを伏せ、王太子の側で役に立とうとするヒロインは健気ですが、絶対に相手を取り戻したいという強烈な恋愛感情が薄く、受け身なところが気になりました。

選評

降嫁を望まれた王女と、ヒロインの初恋の騎士との、王道のラブストーリーです。じっくりと愛を育む穏やかな物語運びはよかったですが、山場やこの物語・このキャラクターならではの独創性・斬新さは弱く感じられました。タイトルも汎用性が高すぎるので、サブタイトルだけでもこの作品ならではのものがつけられると個性が強まると思います。

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